会長挨拶

会長に就任して


原子衝突学会会長
城丸春夫

原子衝突学会の新会長として,会員の皆様にごあいさつ申し上げますとともに,はなはだ雑駁ですが,今後の運営に対する抱負をお伝えいたします。

原子衝突学会は前身の原子衝突研究協会(1976-2011)の時代から数えて40年以上の歴史を有し,小規模ながらユニークな学会として,他学会からも高く評価されてきました。会員の皆様には,本学会が開催する年会やセミナー,また「しょうとつ」の内容について,今のところ概ねポジティブな評価を頂いております。まずは,この評価を落とすことの無いよう,これからも関連分野の研究の活性化や若手研究者の育成に貢献ができるよう,職務に当たる所存です。

多くの会員にとって,特に正会員にとって,本学会は所属する唯一の学術団体ではありません。おそらく本学会のような「分野に特化した中小規模の学会」と,物理学会,応用物理学会,化学会のような「一万人以上の会員を擁し従来の学問領域を大きく網羅するような学会」の両方に所属して活動しておられるでしょう。それぞれの学会には研究領域の歴史を反映した独自の文化があり,年会の雰囲気も多種多様です。本学会の年会によく参加している方は,その雰囲気も気に入って下さっているのだと思います。私自身も小規模学会ならではのインフォーマルな手作り感が好きです。一方で,学会活動が内輪の会になってしまわないように,メンバーを固定化しないこと,近隣領域に目を向けることを意識していきたいと思います。

サイズが小さいということは組織としてのinertiaが小さく,変化を求めればどんどん変わっていくことが可能です。一方,本学会は長い歴史を持っており,その伝統は尊重されるべきものです。この,変わるもの,変わらないものの程よいバランスをどのあたりに持ってくるか,悩ましいところです。一般に,教育システムに変更を加えたとき,その効果を判断するには相当の時間がかかります。本学会は3年前に若手研究者に対する支援,表彰事業を「広く浅く」から「競争による集中」へと大きく転換しました。これには当時の高橋会長,鵜飼顕彰委員長の「学会として次世代研究者の育成に関与していく」というメッセージが込められています。学生会員の方々は申請書を書くのが大変だと思いますが,この方針はしばらく継続します。書類書きの経験は必ず役に立ちますので,頑張ってください。

最期に,個人的にこれはやりたいと思っている2つのことを書きます。年会には本学会に所属していない関連領域の研究者を積極的に招待しています。このような試みを年会で終わらせるのではなく,新しい研究グループの立ち上げに結びつくように,学会としても何かできないものでしょうか。新しい研究ネットワークの構築は新しい研究を生みます。皆様,ぜひアイディアをお寄せ下さい。もう一つ,これは長年の課題でもありますが,原子衝突研究協会時代の様々な資料や記録が散逸しないように整理すること,少なくともその道筋をつけることをやっていきたいと思います。

それではこれから2年間,よろしくお願いいたします。

2018年4月 城丸春夫


ページトップへ