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 原子衝突研究協会会長
伊藤秋男
2010-2011年度の会長を仰せつかりました。会員の皆様どうぞよろしくお願い申し上げます。
1976年設立の本協会は、時代の流れとともに益々の学際的広がりを呈している「原子衝突学」に携わる研究者間の交流・情報交換の場としてこれまで運営されてきました。この間の我々を取り巻く研究教育環境の変化や情報通信技術等の多様化・高度化に対応するため、2004年には柳下明会長のリーダーシップの下に運営体制に関する斬新な諸企画が提案され実行されてきました。ピア・レビュー制度を取り入れた学術出版誌「しょうとつ」のe-journal発刊、会員名簿管理・ホームペイジ管理の外注化等により以前にも増して柔軟かつ余力有る運営ができる土台が出来ています。後任の山崎会長・河内会長に続く者として、この土台に立って協会の更なる発展を期して微力を尽す所存です。とは言え「協会の発展」は積年の課題であり、会員一人一人の努力と協力の積み重ねで初めて実現できることですので皆様のご協力を重ねてお願いする次第です。そのような意味から、現在の協会は「変革に至る過渡期」に置かれていると認識しております。以下に散文的ではありますが私見を述べさせていただき、就任の挨拶と致します。
現在、原子衝突研究協会の会員数は約336名(一般260、学生50、終身26)を数え、18,000人を擁する日本物理学会の1/60の規模であります。過去20年近くにわたり総数・内数ともに変動があまり無く、現在の所属機関は大学・研究所が約80機関、民間企業約20社、外国人5、となっております。この規模の任意団体である本協会を発展させる意義がどこにあるかと言えば、ひとえに自然科学の基礎から応用に亘る広範な諸分野の基礎を成す「原子衝突学」の重要性を世界的規模で認知させ発展させることであろうと思います。そのために何をすべきか、について協会運営委員会(本年4/17開催)の中で活発な討論を行った結果、何よりも先ず「魅力溢れた協会に育てること」が最重要であるとの共通認識を得ました。この目的達成に向けての具体的な戦略作りに幹事会が中心となって取り組んでいるところです。ただ、資金面での制約から大きな学会のようには行かず、実行可能な範囲に限られることは否めません。個別の検討項目として、会員数の増加、ホームペイジの充実、学界内での認知度アップ、国際性、賛助会員へのメリット、関連諸分野との有機的連携の形成、あるいは協会名の変更(例:日本原子衝突学会)等が挙げられます。これら枝葉を支える幹は「協会のアクティビティを上げること」であります。魅力溢れた協会とは、300人の中で閉じたものではなく、他研究分野の無数の研究者・学生を惹き付けて離さないものでなければなりません。会員のみならず関連諸分野の研究者・学生がいつも手元に置いて読みたくなる会誌(学問的に役立つ、実用上有意義、知的好奇心から面白い)、学生が勇んで発表したくなる年会、等々。そういうものを作ってゆくことが大事なことであると思います。
原子衝突と聞いて誰でもすぐに10人以上の物理学者を頭に浮かべることができると思います。私の場合は、ラザフォード、トムソン、ボーア、ベーテ、オッペンハイマー、ボルン、リンハルト、マッセイ、ファノ、井口道生、それにファインマン、・・・。これら偉大な先人達が取り組んだ原子衝突という学問は物理学会の領域1(原子分子、放射線物理、量エレ)を遙かに超えた分野にまで根を張っています。私達会員は大きな自信と誇りを持って活動しようではありませんか。協会の発展に向けた個々人のそして協会組織の地道で真摯な学会活動は必ず華開くものと確信しております。
「衝突」は世間では自動車事故とか争い事・紛争などに結びついた印象を与え、どちらかと言えば負のイメージが強い言葉ですが、実は違います。衝突は「出会い」、と私は思っています。ロマンとチャレンジに満ち満ちた出会いであります。
2010年4月
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